あっという間に12月に入ってしまった。お客さんがあまり来なかった土曜日とはうってかわって日曜日はお客さんがよく入り、大判や単行本がまんべんなく売れた。久しぶりに夕方安心して顔がほころぶ。常連さんもたくさん見かけた。ジャコメッティを買っていただいたお客さんにミロのリトグラフ集を見せたら、マーグのものでないのは珍しいよ、と教えてもらう。ネットでも情報がでてこないものでもお客さんから情報を教えてもらうことは多い。百年にきて3年と少し経つけれど、やっぱりお客さんはすごい。
今年は年末に近所で初出しのものばかりで2日間だけもう一店舗(POP UP STORE)もまだやる予定がある。まだまだ1年は終わらない。

休日は久しぶりにきどっていなくてかっこいい食堂、めぐたま写真集食堂へ行った。写真集が4500冊くらいあって、どれでも見られる。初めて来たときは、コーヒー代さえ払えればいくらでも写真集が見られるなんてこんなに素晴らしいことはない、是非住みたいと思った。しかも、疲れてお腹が減ったら美味しくて栄養満点の食事も食べられる。ケーキだってある。室内は音楽が全然かかっていないのだけれど、お店の人たちが夕飯の仕込みをしながら、ジャガイモが足りないとか、あれ買ってきてとか、今日の夕飯のメニューは何にしようかとか相談する声が少し聞こえて丁度いい。鈴木清の『デュラスの領土』やルイジ・ギッリの写真集、日本の最近の写真集をまとめて眺めた。ルイジ・ギッリは、なにげないものをニューカラーっぽい色使いで撮ったようだけれどとてもひっかかって、モランディの絵を見た時と似たような気分になった。食堂へ行った帰りに新文芸坐のラスト一本で『出所祝い』を見る。『出所祝い』というタイトルで、もやが出て、安藤昇も田中邦衛も江波杏子も夏八木勲も出るならば、絶対面白いに違いない!と思ったけれどしっとりして好みに合わなかった。