イベントが近づいてきた。別にイベントの方からこちらに近づいて来ているわけではなくてどんどん時間が過ぎるという意味です。当たり前だけど。イベントは百年初のレイトショウ「窓のレイトショウ」。9月12日(木)と13日(金)に開催。

窓というのは、映画サロンkiiiiino〈キノ〉で写真家・小野奈那子さん、作家・しおいりあさこさん、グラフィックデザイナーのショートリード・ジェシカさんが、その月の上映映画からインスピレーションを受け、作った冊子の名前。でも、彼女たち3人を呼ぶときに「窓さん」と私は呼んでいる。窓さんは見かけはちょっとアイドルっぽい。(語弊があったらすみません。可愛いから会うと嬉しいという意味です。)けれど、作っているものはとても可愛らしいとかふわふわしたとか、そういう形容からは離れているように思う。そして、3人は一人一人何の打ち合わせもなしに一つの物を作ることができるところが面白い。例えばタイトル通り赤が印象的なセルゲイ・パラジャーノフの『ざくろの色』が上映された際に作られた「窓」。小野奈那子さんは白い壁とブロック塀の写真を撮って、しおいりあさこさんは文字で赤を表現し、ショートリード・ジェシカさんが二人がそう来るのわかっていたよと言わんばかりにまとめ上げている。全員が『ざくろの色』を目指したはずなのに、あ、これは3人で『ざくろの色』だ、と思ってしまった。

その窓さんが作ったおみやげ(オリジナルブックケース+小冊子・窓+しおり+なこしかおりさんの焼き菓子)が手渡され、2画面(!)で映画が上映される今回の窓のレイトショウ。映画がものすごく好きでなくても、映画がご飯より大好きでも、どっちの人にも映画でこんなことも出来るんだ、と広がりの感じられる体験をしてもらえるのではと思う。「百年は窓から光が入ってきて真っ暗にならないかもしれないです」と自分が言った時、KinoIgluの有坂さんは「真っ暗にならなくてもいいです」と仰った。百年で、窓と、移動映画館KinoIglu(キノ・イグルー)によって上映される『トニー滝谷』はもしかしたら映画体験じゃないのかもしれない。

昨日は仕事帰りに新文芸坐に加藤泰の『沓掛時次郎 遊侠一匹』を見に行った。再見。相変わらず最高。サイコ―。またかかったらまたとんでいく。