飯沢耕太郎「旅と日常」

「あの日、日本人が旅に出たということも、ネガティブにばかり捉えないで旅を生かして何かを作っていくという一つの契機にできないか」、不安が続く中で開催したトークイベント。

ザンジバルは、東アフリカ・タンザニアの首都、ダルエスサラームの沖合約30キロのインド洋上に位置する。ザンジバル島、ペンパ島など珊瑚礁に囲まれた大小の島から成り、人口は約100万、大陸部のタンガニーカとタンザニア連合共和国を形成する。主島のザンジバル島は沖縄本島よりやや大きな面積を持つ。8世紀頃から入植が開始され、ポルトガル人の支配を経て、19世紀にオマーン王国の王都となった。石造りの旧市街は、ストーンタウンstone townと呼ばれ、奴隷、象牙、クローブなどの貿易で栄えた。その交易のための共通語として発達したのがスワヒリ語である。イスラムとアフリカの文化が融合した古都は、2000年にユネスコの文化遺産(世界遺産)に登録されている。

(飯沢耕太郎著「石都奇譚集」より)

飯沢耕太郎
(いいざわ・こうたろう)

1954年生まれ。写真評論家。きのこ文学研究家。筑波大学大学院芸術学研究科修了。主な著書=『写真美術館へようこそ』『ジャパニーズ・フォトグラファーズ』『写真を愉しむ』『増補 戦後写真史ノート』『きのこ文学大全』など。