なめこ

10がつも2週目に入って少しづつ肌寒くなってきた。今日はよく晴れた一日だったけれど、そのせいかお店の賑わいはイマイチ。8月にやった「食」イベントのテープ起こしを進めるも、パソコンがフリーズして完成間近といったところでデータが消えてしまい、この空しさをどこへ向ければいいのかと途方に暮れたりなど。ちょっと前に新着のアートブックをまとめた棚に出したのが、ここのところ動きが出てきた感じ。脇山さんにオンラインストアの登録など進めてもらって、オンラインもちょっとづつ棚の感じに近づいてきた。

今週は大林宣彦「この空の花」を下高井戸シネマで観た。心に残る鮮烈な映画だったけれど、アクが強いなあという印象も。下高井戸は中央線沿線からはアクセスが悪いのでいつも自転車で行く。結構かかるし、坂が多くて、正直下高井戸に着く頃には「…映画、見なくてもいいかな」という気持ちになっている。でも火曜日は1000円だから見て、帰りもやっぱり自転車を頑張って漕ぐ。それから、「食」イベントにご出演頂いた上田勝彦さんオススメの「ゆでサンマ」を作った。ネギをたくさんちらして、シークワサーをしぼった醤油で食べたら美味。

夏休みで沖縄へ行ったのち、東京で沖縄に関連する本ばかりを読んでいる。滞在中に目にしたことや感じたことは、自分の拙い知識と想像力を遥かに超えていて圧倒されてばかりだった。帰ってきてから本を読むというのもなんだか間抜けだけれども、歴史を知りたいという気持ちと、あの衝撃のルーツを探りたいという好奇心がまだ残っている。滞在中は酒を飲むか、衝撃受けて呆けるかビビってゴネるかくらいしかしてなかったのに…もっと目や耳や頭を使えば良かったろう…と我ながら思うけれども。
それから、今週一番の出来事は、キルメン・ウリベ「ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ」(白水社)。バスク語で書かれた小説の翻訳で、この本を翻訳した金子恵美さんが「少しでも多くの方に手に取ってもらいたい」と百年で委託販売できるかお尋ね下さったのがきっかけで読み始めた。ページを繰る前から期待はあったけれども、冒頭の一文でその期待を遥かに超えて一気に魅了された。バスク地方、代々続く漁師の家に生まれた作者の生れた国とそこに暮らす家族の物語。ページを繰るごとに、頭からつま先まですっぽり物語の世界に包まれる。あまりに夢中になって、読んでいるだけでは物足りないような、どこかもどかしいちょっとした焦燥感を感じて、ページを繰ることに後ろめたさを感じるほど。近々百年にも入荷予定。作者のキルメン・ウリベは来月来日するそう。関連イベントもあるそうなので是が非でも行かなくては。
それから、本当にどうでもいいのだけど、巷で話題の「なめこ」を育て始めた。糸満で見かけた素朴な中学生の女の子が持っていたバッグに「なめこ」のキーホルダーが沢山ついていたので、気になってやってみた。ら、つまらなさすぎて唖然とした。あれにハマっているひとは、「超つまんないゲームなのに、ついハマってしまう自分」という寒い状況をあえて楽しんでいるのだろうか。「なめこ」可愛いどころかちょっと気持ち悪くて、軽いトラウマ。