吉祥寺のお祭りで街もお店もよく賑わった日。時折聞こえる太鼓の音が羨ましくて、負けじとジミヘンを流したりしてお茶濁す。今週はありがたいことに買取が多かったので(それも良いものばかり!)、とにかく一日中スリップを書いて、クリーニングしたり線引き消したりして、手入れが終わったものからどんどん棚に出していく。カウンターから本があふれて棚に浸食していくイメージ。今日はベンヤミンなど人文書の定番(お買い得価格です)、スーパーラボ・蒼穹舎・赤々舎・リトルモアなど国内写真集の良タイトル、小沼丹・小林信彦(東京のロビンソン・クルーソー)・直井潔など渋めの国内文学、写真関連の単行本(近年刊行多)などを棚に出した。今ならどの棚にも新着が入ってる感じです。イイネ!本がたくさん入ってくるのは本当にうれしい、そして本当に楽しい。

9月に入ったあたりからやっと本を読めるようになった。赤坂真理「東京プリズン」(ダイレクトな言葉を使うのは気が引けるけれど、悪い意味で読んでいるのが苦痛だった。テーマは興味深いのだけれど)で懲りて、古本ばかり読んでいた。宇野信夫、室雄犀星、田村隆一、タブツキあたりを拾い読む。それから年に数回ある「坂口安吾ナイト」をひとり敢行。ちくま文庫の全集と角川の文庫しか手元にないのが惜しいけれど、何度も頷き胸打たれ頬をひっぱたかれた思いなど抱きながら至福の時。角川文庫の「暗い青春 魔の退屈」というタイトルをこれまでに何度読み返しただろう。安吾、かっこいい。こればかりは何度言っても言い足りない。それから合間に店長から借りた「独立国家のつくりかた」をちびちび読む。

西荻窪にある(音羽館のすぐ近く)DON’Tという美容室で髪を切った。小学校の高学年くらいまで母親の意向により後頭部を刈り上げられていた怨念から伸ばし続けていた髪の毛をだいぶ切った。はじめて「また行きたい」と思う美容室に行けたのが嬉しくて、遅ればせながら大人の階段をのぼった思い。嬉しかったのは、高度な手入れを要求しないことと、帰り際に整髪剤をつけないことと、わざとらしくない接客をしてくれることと、美容師さん(女性)のカットのときの中腰がに股が超かっこよかったこと。