百年「と」会話 会話の会話 ロメールから濱口竜介へ


濱口竜介(映画監督)×野崎歓(仏文学者)
 
 日常生活・映画・文学作品で、人は「会話」をする。ヌーヴェルヴァーグの重要人物エリック・ロメールが2004年『三重スパイ』という映画で任務遂行の様子を一切描かず、夫婦の会話と作中に挿入される当時のニュースフィルムによってスパイ映画を撮ったように、「会話」は意思を伝えることにとどまらない。空間に軽妙なリズムを作り出したり、当事者の関係性をあぶりだしたり、スリリングな展開を作り出すのもまた会話の一面である。人が2人以上いれば成り立つミニマムな行為、「会話」に何ができるだろう。
 「日本映画は依然として会話劇としては未開拓」と考え、「会話」を中心に映画を撮り続け今注目を浴びる映画作家濱口竜介さんと、ルノワールやロメールなどフランス映画に造詣が深く、多くのフランス文学の翻訳に携わり翻訳の中の会話の難しさを知る野崎歓さん。お2人による「会話」について考えた会話。ロメールから濱口竜介、そしてフランス文学作品にまで及ぶ会話はどこへ行くのだろう。
 

濱口竜介(はまぐち りゅうすけ)
1978 年神奈川県生まれ 。映画監督。東京大学文学部大学卒。卒業後、商業映画、TV番組制作の現場で助監督として活動する。2006年、東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域に入学。修了制作として制作された長編映画『PASSION』(2008)は、2008年度のサン・セバスチャン国際映画祭と東京フィルメックスのコンペ部門に入選。チェコのカルロヴィヴァリ国際映画祭にも正式招待され、高い評価を得る。公開待機作は『THE DEPTHS』『親密さ』など。最新作は、2011年5~9 月にかけて、酒井耕と共同監督で、東日本大震災の被災者へのインタビューをまとめたドキュメンタリー映画『なみのおと』。7月末からオーディトリウム渋谷にて初のレトロスペクティブが開催。併映にエリック・ロメールの作品あり。
濱口竜介レトロスペクティブHP

 

野崎歓(のざき かん)
1959 年新潟県生まれ。東京大学大学院・文学部教授。フランス文学者、翻訳家、エッセイスト。トゥーサン作品の翻訳でベルギー・フランス語共同体翻訳賞、2001年、『ジャン・ルノワール 越境する映画』でサントリー学芸賞、2006年に『赤ちゃん教育』で講談社エッセイ賞、2011年に『異邦の香り―ネルヴァル「東方紀行」論』で読売文学賞(研究・翻訳賞)を受賞。2010年エリック・ロメール死去の際に読売新聞に追悼文を寄稿し、同年朝日カルチャーセンターにて講演「エリック・ロメール 『フランス的』な精神とは」も行う。

2012年9月2日(日)13:00~(入場12:30)
チケット:1000円
8月4日(土)11:00~電話(0422-27-6885)、メール(mail@100hyakunen.com)、店頭にて予約受付開始
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