百年「と」高松次郎 言葉とものをめぐって


50年代から70年代の日本現代美術最盛期に、パフォーマンス、絵画、彫刻と様々なスタイルで作品を制作し、戦後美術の花形であった高松次郎。不在と実在、虚像と実像、思いと現実、相反する2つのあいだを彷徨いながら、思考を作品へと昇華していった。赤瀬川原平、中西夏之と結成した芸術集団「ハイレッド・センター」での活動、石子順造や中原祐介など同時代の批評家たちを刺激したシリーズ作品「影」など…。「コンセプチュアル・アート」の枠に収まりきらない、日本現代美術の豊かな参照点ともなる思考と作品を残した。
  「日本現代美術」の本質が断絶されつつある「現代」、その本質の中に美術の根本的なあり方をみる光田由里さん。高松次郎の思考と作品のあいだを深く交差する回路にまなざしを向け、高松次郎の思考と作品をいまの視点から捉え直した。そして、そこから「日本現代美術」の本質に新しい光をあてている。
 高松次郎とは、いったい誰なのか。彼は、何を成し遂げようとしたのだろうか。いま、なぜ高松次郎なのか。作品図版を参照しながら、著書の中では触れられなかった点や補足を交え、高松次郎の姿に迫っていく。
 
ゲスト:光田由里(松涛美術館学芸員)
3月3日(土)19:30~21:00
1000円
※予約時に当店で関連書籍お買い上げで100円引

50名
 

高松次郎(たかまつじろう) 
1936年生まれ、1998年没。美術家。1963年に中西夏之、赤瀬川原平と芸術集団「ハイレッド・センター」を結成。「山手線事件」や「首都圏清掃整理促進運動」など数多くのパフォーマンスを実践。芸術と日常との境界を撹拌する実験的活動と並行し、「紐」シリーズや「影」シリーズなど代表作ともなる作品を発表。その後も、絵画、彫刻、写真、絵画など様々なスタイルで、数多くの作品を制作する。コンセプチュアルで、反芸術的要素を備えた作品が多く、「点」、「紐」、「影」、「遠近法」、「複合体」など、作品が作家自身によってシリーズ分けされ、様々なテーマをめぐって構成されている。代表作に「遠近法のテーブル」、「カーテンを開けた女の影」など。

 

光田由里(みつだゆり) 
美術評論家、渋谷区松濤美術館学芸員。近・現代美術史、写真史。編著書に、「高松次郎 言葉ともの」(2010年 水声社刊)、「写真、芸術との界面に 写真史1910年代‐70年代」(2006年 青弓社刊)、「野島康三写真集」(2009年 赤々舎刊)など。担当展覧会に、「滝口修三の造形的実験」(2001年)、「大辻清司の写真 出会いとコラボレーション」(2003年)、「中西夏之新作展 絵画の鎖・光の森」(2008年)など多数。