まさか

5周年記念セールもおかげさまで無事終えて今日からはいつも通り、と思いきやお盆だからかお店もよく賑わった。ここ数日で買取りを多数お持ちいただいたので、本であふれていたカウンターを整理しながら新入荷の手入れなどであっという間。
 
今日は出勤時間が遅かったので、仕事の前に新宿武蔵野館でアルトマンの「ナッシュビル」を見てきた。もうひとりのスタッフが絶賛していたので。彼女は1日に2回も見たらしい、3時間近くあるのに。2回見たくなるのもうなずけるほどじっくり見れば見るほどの楽しさがあるようなきめ細かな印象もあり、かつ音楽のすばらしさや登場人物たちのいきいきとした姿などもそのまま楽しめた。お盆だからか朝一の回だったのにほぼ満席だった。それから、この一週間は店長に薦められて見たロウ・イエ監督の「天安門、恋人たち」「スプリング・フィーバー」のことばかり考えていた。「スプリング・フィーバー」は初め見たときはピンとこない部分があったのだけど、「天安門~」を見てから見直したらぐっと良さが伝わってきた。本当にすばらしい映画。
 
galaxie 500が再結成するという知らせを聞いて、「ディーンがあの二人をついに許したの?まさか!」と思いきや、やはりディーンが独りでギャラクシー時代の曲をやるというだけだった。そうこなくては。10代の頃はディーン・ウェアハムに夢中だった。galaxie 500のどのアルバムも今まで何度聞いたかわからないし、彼らの音楽や姿勢は私にたくさんのことを教えてくれた。17歳のときにルナが東京でラストライブをやったときは、出待ちをしてラストアルバムにサインをしてもらったのだった。緊張で手足と声を震わせながらやっと言えたことは「ありがとう」ということだけだった。いま、ディーンがgalaxie 500の曲をやったのを聴いたらどうなるんだろう。叫びたいほどうれしいけれど、今の私が心底必要としてはいるものはgalaxie500でないことに複雑な気持ちも。10月に来日するらしい。とにかくまだショック、ずっとそわそわしっぱなし。
 
西山雄二「哲学への権利」を読み始めた。まだ半分ほどだけれど、すごく面白い。デリダが創設した市民団体「国際哲学コレージュ」にまつわる本。「あるものに抵抗しつつも、その創造的な可能性のために近接して作用すること、肯定的に変化させてゆくこと」。自分が読書や仕事を通じて、対本であれ対人であれ、どんなことを試みているのか、どんなことをやりたいのかということの大きなヒントをもらった。あとは大澤真幸「現代宗教意識論」。面白いのだけど理解するのに時間がかかって進みが遅い。「神は<他者>の転態した帰結である」。合間に西村賢太「寒灯」、堀江敏幸「めぐらし屋」を読み終えた。西村賢太を読むと結構声をあげて笑ってしまう。実は5日後くらいに引越しなのに本当に何も準備していない。雨風さえしのげるならば数日くらい一切の家電がなくとも問題なし、と思ってる自分がいる。