百年「と」創造 ~作家の、読者の創造。「作品」の可能性へ。~

「作品に身を預けるということ。作品を経験する時、主体は、〈私〉ではなく作品にあります。あるいは、そのような態度で接するに足りる密度をもったもののみを、作品と呼ぶべきだと考えます。」(古谷利裕『人はある日とつぜん小説家になる』「はじめに」より抜粋)
 
作品に身を預けることはとても困難だ。
「わたし」を介在させることでしかその作品を経験できないからだ。「わたし」は既に知識と地図を携え、それを片手に経験する。「人は裸の状態で作品とふれあうことなど出来ない」のだ。
けれど、読むという創造的行為によって、裸の状態となり作品に接することが可能だ。そして、そのときはじめて「作品」はあらゆる可能性へと開かれ、作家の創造的行為があきらかになるのではないでしょうか。
今回のイベントでは、デビュー以来、罠と策略に満ちた世界を書き続け、読者を宙吊りにさせ続ける作家・福永信さんをお招きし、『人はある日とつぜん小説家になる』には収録されていない新作(2010年2月号『新潮』に収録された『午後』)を手掛かりに、実践的に「作品」に対峙する方法を探っていきたいと思います。
また、文学と現代美術の領域を横断する福永信さんが、画家としての古谷利裕さんを露わにします。
画家であり小説家であり読者である二人のアクロバットなトークイベント!
 

古谷利裕(ふるや・としひろ)
1967年神奈川県生まれ。画家。1993年東京造形大学卒業。主な展覧会に、「VOCA」(2002)、「さまざまな眼」(2005)、「組立」(2008)など。著書に、『世界へと滲み出す脳』(青土社)、『人はある日とつぜん小説家になる』(青土社 2009)。2008年11月、百年にて「百年と残雪~中国現代文学・残雪の世界へ 近藤直子×古谷利裕~」を開催。
 
福永信(ふくなが・しん)
1972年、東京生まれ。1996年、京都造形芸術大学芸術学科中退。著書に『アクロバット前夜』(リトルモア、2001)、『コップとコッペパンとペン』(河出書房新社、2007)、村瀬恭子との共著に『あっぷあっぷ』(講談社、2004)。2009年にはヨコ書きからタテ書きにした『アクロバット前夜90°』を刊行。近年、文芸誌等で精力的に新作を発表している。アートプロジェクトなどにも参加し、文学と美術の横断的な活動をしている。

 
終了しました
2010年3月13日(土)20:00~22:00(開場19:30)
チケット:1200円
※ 予約時にお2人の著作をご購入の方は1000円に割引となります。
定員:55名