『ムシェ 小さな英雄の物語』刊行記念トーク 

12月5日(土)20:00~21:30(開場:19:30)
会場:百年(吉祥寺)
定員:50名 
ゲスト:キルメン・ウリベ(Kirmen Uribe)
通訳:金子奈美
ムシェ2
                                                              2000年代初めに詩人として頭角を現わし、初の小説『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ』(白水社、2012年)が国際的に注目を集めた、バスクを代表する作家キルメン・ウリベ。
待望の第二長篇『ムシェ 小さな英雄の物語』(白水社)の邦訳刊行を記念し、作家の来日イベントを開催いたします。ウリベ自身が、バスク語での朗読を交えながら、作品の背景や文学観について語り、読者からの質問に直接お答えします。人柄も魅力的な作家とともにその作品世界を堪能しましょう! ※翻訳者の金子さんが通訳しますのでお気軽にご参加ください。
            

************************

決して忘れられない出来事がある。

スペイン内戦下、バスクから疎開した少女を引き取ったベルギーの若者ロベール・ムシェ。その出会いが、彼の人生を思わぬ方向へと導いていく……。
それから70年近くを経て、バスクの作家によって見いだされた、無名の英雄をめぐる心揺さぶる物語。

「カルメンは、手紙がなぜ四つに裂けているのだろうと自問した。母が破いたのだろうか?(中略)時間が怒れる両手の代わりとなって、ひとりでに破けてしまったのか? それはカルメンにとって答えのない問いだった。その数年というもの、彼女の人生もその四つに引き裂かれた手紙のようなものだった。破片を並べ、そこに何らかの論理を見いだそうと努めるうちに、彼女自身の過去があきらかになりつつあった。」(本文より)

戦争に奪われた記憶の破片を継ぎ合わせ、喪失を乗り越えていく希望の道筋。

「歴史資料や独自の取材にもとづくノンフィクション的な記述と、作家の想像力から生まれる小説的な語りとのあいだを行き来して、ロベール・ムシェとその周囲の人々、彼らの体験や感情を鮮やかに蘇らせてみせる。」(「訳者あとがき」より)

event_1

キルメン・ウリベ(Kirmen Uribe) 
1970年、スペイン・バスク地方港町オンダロアに生まれる。バスク大学でバスク文学を学んだのち、北イタリアのトレント大学で比較文学の修士号を取得。2001年に処女詩集 Bitartean heldu eskutik(『しばらくのあいだ手を握っていて』)を出版、バスク語詩における「静かな革命」と評され、スペイン批評家賞を受賞。2008年、初めての小説となる『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ』を発表し、スペイン国民小説賞を受賞。国際的に注目され、これまでにスペイン国内外の14の言語に翻訳される。2012年に出版された小説第二作となる本書は、刊行直後からベストセラーとなり、スペイン語訳も忽ち増刷、広く話題を集めた。

金子奈美(かねこ・なみ) 
1984年秋田県生まれ
東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士課程在籍
専門はバスク地方およびスペイン語圏の現代文学
訳書に、キルメン・ウリベ「ビルバオ―ニューヨーク―ビルバオ」(白水社)

11月7日(土)11:00~電話(0422-27-6885)・店頭・メール(HP右上の「お問い合わせ」もしくはmail@100hyakunen.com)にて予約受付開始。
チケット:1000円
※当日イベント開始までに百年にて書籍「ムシェ 小さな英雄の物語」(白水社)をご購入いただいた方は100円引き