古谷利裕展示 「人体/動き/キャラクター」

会期:2015年10月7日(水)-10月26日(月)
時間:平日12:00-23:00 土曜11:00-23:00 /日曜-22:00 火曜定休
10月17日(土)はイベントのため19:00までの営業となります。
会場:吉祥寺・百年 (武蔵野市吉祥寺本町2-2-10 村田ビル2F) 

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(1)最初にあったのは「体の動き」でした。人の動きを、最小限の線の関係のみによって抽象的に捉えようとする「動きのスケッチ」を、毎日、たくさん描きました。日常的な動きもあれば、自分にはとてもできないアクロバティックな動きもあり、また、「逆立ちしようとしたら、右脚がつけ根から外れて体内に向かって落ちてきたが、左肩から抜けて外へと零れ落ちた」というような、構造的(現実的)に不可能な動きもありました。

                                                             
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(2)たくさんのスケッチのなかから、「動き」それ自身としてキャラが立っていると思われるものをいくつか選び出しました。そして、それぞれ異なる複数の「動きのキャラ」たちを、振り付けをするように関係づけ、統合することによって作品をつくることを考えました。
                                                              

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(3)スケッチは元々、体を、他人のものとして外側から捉えることと、自分のものとして内側から捉える感じとを、意図的に混同して、外的であると同時に内的でもある「動きの感覚」を捕えようとしたものでした。「動き」というのは体そのものではないので、「あくび」が移るように混同によって伝播し得る。そこで、選び出した「動きのキャラ」たちが、フレームを越えて異なる作品へと横断的に行き来できるようにしようと考えました。
具体的には、スケッチをコピーし、それをもとに厚紙を切り取って「型」をつくりました。手と筆によって紙の上に直観的に描かれたストロークは、ここで、コピーという行為を媒介とし、カッターで切り取られた厚紙の「穴」へと変換されました。

                                                             
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(4)穴に絵の具が詰め込まれるこで「ストローク」と「その関係」が再現されます。「型」を媒介とすることで、「動きのキャラ」たちは、様々な異なるフレーム、異なる支持体の上へと転送されてゆきますが、しかし同時に、それぞれのフレームのなかで、固有の役割、関係、表現をもつものとして受肉されるようにと意識して制作しました。
横断と受肉。個々の作品は、それぞれ閉じていると同時に、秘密のルートで他と繋がってもいるというようなイメージです。

                                                                                                                                          

古谷利裕(ふるや としひろ)

1967年生まれ。画家。2008年、デヴィット・リンチ、岡崎乾二郎、保坂和志等々を取り上げた初の評論集『世界へと滲み出す脳 感覚の論理、イメージのみる夢』(青土社)を刊行。その他著書に2009年『人はある日とつぜん小説家になる』(青土社)2014年『フィクションの音域 現代小説の考察』(BCCKS Distribution)がある。偽日記@はてな

過去の作品・展覧会
https://note.mu/furuyatoshihiro/m/mc2ed923be97d?view=list