Artist StatementーRoku Shirakashi 白樫 緑


百年と一日、どちらの展示も「過去へのあこがれ」がテーマかと思います。そういった気持ちを抱くようになったきっかけはありますか?

私は洋画が大好きなのですが、映画を見てる時間だけは全てを忘れてその世界に没頭します。過去への憧れもそれに近く、いわゆる現実逃避なのかもしれません。色んなジャンルの映画を観て、過去に起きた様々なムーヴメントを知りました。

一つは、漫画家のロバート・クラムのドキュメンタリー「crumb」や、「イエローサブマリン」「オースティン・パワーズ」等を観て、60〜70年代のアメリカのヒッピー文化、カウンターカルチャー、サイケデリックなファッションなどに興味を持ったことが大きいです。

そしてもう一つは、プリティ・ベビーという、1900年代初期の娼館をモチーフにした、伝説のロリータ映画を観たこと。
舞台がニューオリンズで、BGMはジャズやラグタイムなのもお洒落だし、当時の娼婦達の装いや、あっけらかんとした態度が実にカッコいい。

まだまだあるのですが、書ききれません!


一度だけタイムスリップで過去に戻れるとしたらどの時代へ行きたいですか?

「ゴーストワールド」の世界観が好きなので、主役のイーニドそのものになりたい!彼女のファッションも、言動も、好きなものも、全てが共感できるので。でも、タイムスリップって言うほど古い映画でもないですね….。

あと、「ベルベット・ゴールドマイン」を観て70’sのグリッターファッションに心ときめかせていたので、私はいわゆるグルーピーの一人になって奔放な青春時代を送ってみたかったです!

「現代」をモチーフにすることはありますか?

今の時代の空気感みたいなものは最近の音楽や映画から感じとっていて、好きな作品が沢山ありますが、私自身が現代をモチーフにすることはあんまりないかな、と思います。


ディスコのお立ち台で踊る女性や映画女優など、衆目をあつめるようなモデルがモチーフになっていますが、作品のモチーフとして意識された点はありますか?

たしかにそうですね。誰か一人、モチーフとなるような人物がいるわけではないのですが、今回「百年」で開催させていただいた「80’sdream」展のために、とにかく昔〜現在の海外のplayboyの、様々なプレイメイト達の写真を資料としてネットで集めました。

人種や、肌の色、胸やお尻が大きいこと、そしてそれに誇りを持って、堂々と自らの身体を映すこと。それを楽しんでいること。そんなことを、プレイメイト達からは感じました。

もしかしたら苦手な方もいるのかもしれないですが…
私にとっては、躊躇せず自分の体をさらけ出し、夏の太陽の光を浴びて笑っている彼女たちを見て、わー眩しいな!素敵だな!と憧れの対象になっています。

制作において大事にしていることはありますか?

「制作している時間が楽しいこと」が一番重要だと思っています。

影響を受けた本、おすすめの本、○○な時に読み返す本など、なにかあなたの1冊を教えてください。

漫画ですが、高校生のときに偶然図書館で見つけた「Fritz the cat 」完全版 著:ロバート・クラム 訳:小野耕世 です。

フリッツは猫ですが、いつも気だるげで、女の子のことやあぶないことばかり考えているお気楽野郎猫です。映画の「トレインスポッティング」の漫画版みたいで、報われない日々の中にもちょっとしたドラマがあり、私は大好きです。

今後の活動予定があれば教えてください。

明確には決まってませんが、定期的に個展はやっていきたいと思いますので、興味があればぜひ遊びに来てください。

Roku Shirakashi Solo Exhibition「80’s Dream」&「Old – fashioned」@百年&一日
http://www.100hyakunen.com/news/info/202107113255


白樫 緑(しらかし ろく)

東京都町田市在住。イラストレーション青山塾修了生。水彩、アクリル、コラージュなど多様な画材を使い絵を描いています。
Instagram : @roku_shirakashi