Artist StatementーSakasano Kasa



・今回の展示のタイトル「A Tower of Rubble – Made Brick」についてお聞かせください。
自分は昔から何かものを作ることがずっと好きだったんですけど、いろんなことがあって去年の夏前にはじめて一度ボキッと折れてしまったんです。それで夏が終わって秋になると今度は「自分はひょっとして人間嫌いなんじゃないか」と思うこともあって、「作ること」とか人に感じていた愛とかそういうのが全部分からなくなっていました。そんな感じにガックリきてきていた時期、頭の中で一瞬だけ浮かんだイメージがあって、目の前に大量のガレキが降ってきて白い山になるという情景だったんですけど、「A Tower of Rubble – Made Brick」ってガレキでできたレンガを積み上げて作った塔って意味もそこから出てきました。その時期は、とにかくその変な状況をどうにかしたくて、映画や小説などの作品に触れてはそれについて考え、考えたことを絵としてアウトプットしよう、そうするうちに何か解ってくるかもしれないな…と、結構シンドかったですけれど、決意表明みたいなものとしてそのタイトルはつけました。

・作品に物語を感じるものが多いですが、着想の際に参考にしているもの、あるいは影響を受けたもの(例えば映画や小説など)はありますか?
ヒントを得ようと思って映画や小説に手を伸ばすと、私の場合インプットが上手くいかなくなることも多いので、普段からあまり何も考えずに好きにいろいろ食べるようにしてます。なので最近はむしろ、心理学に関する本とか人の考えについて書かれたものに対しての方が参考にしようという態度は強いかもしれません。実際、そういう種類の本を読むようになった後と前とでは、映画や小説、あとは歌詞から受け取るものの多さもかなり変わったような気がしています。絵の色合わせや作風に関して言えば、チェコスロバキアやハンガリー、ルーマニアあたりの昔のマッチ箱のデザインからの影響は大きいと思います。今回、最終的な出力をシルクスクリーンでやろうと決めたのも、元々はそういう古いものやアナログな手法への憧れからです。

・今回のようなキャンバスにシルクスクリーンで刷るかたちはいつ頃からはじめられましたか?
つい先月、7月に始めたばかりです。DMの配架をいろんなギャラリーや本屋さんにお願いしてまわってるうちに、VOIDのスタッフの方が、ここ(一日)のすぐ近くにHANDo KICHIJOJIっていうシルクスクリーンをやらせてくれる工房があることを教えてくれて、そういう自然な流れというか縁みたいなものが自分にはなんだか久しぶりに吸った新鮮な空気のように感じたので、もうすぐ1ヶ月後とかに開催を控えたギリギリのタイミングだったんですけど、思い切って始めることにしました。


・アクリルで描いたりパソコンで描いたりいろいろ方法はあるかと思いますがシルクスクリーンをえらんだ理由があればお聞かせください。
まずキャンバスに刷った状態で展示したかったことが理由としてひとつあって、それで初めは業者の方に頼んでデジタル画を転写してもらうって方法も選択肢としてあったんですけれど、会場まで会いに来てくれた人に見せたいものってたぶんそういうんじゃないなと思って手刷りできるシルクスクリーンを選びました。あと、他の選択肢としてはリソグラフも最後までけっこう有力で、「(自分の)絵に合うと思うよ」ってオススメしてくれた方も結構いたんですけど、シルクのどっしりした刷り上がりがタイトルの「Brick(レンガ)」ともマッチしている気がしたので、今回はこの雰囲気でいくことにしました。これからもそんな感じで、そのときいちばんピンときた方法で絵は描いていけたらなと思っています。

・制作において大事にしていることはありますか。
肩の力を抜いて楽しみながらやることです。クライアントワークのときもそれは同じで、飄々といられなくなったらガスが抜けるまで待ちます。

・影響を受けた本、おすすめの本、○○な時に読み返す本など、なにかあなたの1冊を教えてください。(直接今回の作品に関係しなくても問題ありません。)
『やわらかなレタス』江國香織
いろいろ考えたんですけどやっぱりコレです。実は今もっと人にオススメしたい本はあるんですけど、それは「ハマってる」という感じで、『やわらかなレタス』はそういうのとはちょっと違うんですよね。書かれていることも生活に根をはったものが多くて、忙しいときにこそ読んで「ご飯はちゃんと食べよう」とか「自分のことは上手に甘やかそう」とかそういう気持ちの方向にいつも整えてもらってます。

・今後の活動予定があれば教えてください。
まずZine作りたいです。作ります。個展もまた世の中が落ち着いた頃にやろうと思ってて、やりたいことだらけです。


Sakasano Kasa 1st. Solo Exhibition 『A Tower of Rubble – Made Brick』
8/18(水)-8/29(日)※火曜定休

Sakasano Kasa 1st. Solo Exhibition 『A Tower of Rubble – Made Brick』

Sakasano Kasa
2020年3月よりイラストレーターとしての活動を開始。
音楽作品のアートワークなどを中心にクライアントワークも行う。