New Stock 2021/02/27



石田徹也全作品集
寓意的な表現で自らが生きる社会と対峙しつづけ、31歳で急逝するまでに多くの作品を残した石田徹也の全作品集。静岡県焼津市で育ったたことで幼少期には第五福竜丸事件に接しながら育ち、またこの事件について月刊誌『ハーパーズ』で掲載されていたルポルタージュに挿絵を描いてたベン・シャーン(のちに絵画連作『ラッキードラゴン』として発表)にも影響を受けたとのこと。絵のタッチなどについては直接的な影響はないように見えますが、画家としての姿勢という部分では影響は受け続けたのではなかったでしょうか。

TOM EVERHART : Snoopy In Paintings
『ピーナッツ』の原作者チャールズ M.シュルツから唯一『ピーナッツ』をモチーフとした作品制作を認可されたトム・エバーハートの作品集。画集に収録された文章を読むと(事前の経緯はわかりませんが)シュルツに絵を見てもらうために『ピーナッツ』をモチーフに作品を制作しはじめたエバーハートは、それまで『ピーナッツ』を知らなかったとのこと。2週間の制作期間のうちにシュルツの絵をよく観察し、自らの作品に昇華させ、その描線をよく再現することでシュルツを感動させ、唯一の『ピーナッツ』をモチーフに作品を制作することを認められたそうです。

福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ
アンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を著したことでシュルレアリスム真っ盛だった1924年にパリに遊学し、のちに日本にシュルレアリスムを持ち込んだ画家・福沢一郎の展覧会図録。1931年に帰国してからは、自らの作品にシュルレアリスムの手法を取り入れながらも、社会風刺的観点も導入し、自らの作風を築き上げていきます。巻末に収録された作家本人による講演会の抄録も興味深いです。