本「と」本を読む人vol.3

―― TOKYO ART BOOK FAIRの前日。

今年は百年も参加したこのブックフェア。6回目を迎えるアジア最大のアートブックフェアで、300組を越える国内外のアート系出版社 、ギャラリー、ブックストア、アーティストが一堂に会す。

ともえさんの参加する、”不幸の科学”ブースで販売する新しいZINEを作っている所にお邪魔してきた。

昨日の朝に集中して表紙のイラストを書き終えて、中の漫画のページを書き込んでいるところ。

考える時間は長いけれど、一度決まってしまうと手が動くのはとても早い。

―― 姉妹のユニットSTOMACHACHE.

((お腹痛い))と言ってる…!

雑誌を開くと目にするストマックエイクの仕事。

本のイラストの仕事以外にも、自由が丘の「本屋と食堂」をテーマにしたビブリオテークという店舗の壁面の絵や銀座に新しくオープンした洋服店NEWYOKERの壁面に、
最近ではトヨタのCMで未来都市のように伸びるビル群などのアニメーションでみかけているかもしれない。

ひとつひとつあげればきりのないのでここらへんでやめとしますが、

この連載のスタートにもあるアンドレケルテスの”ON READING”と同じ店名の、名古屋で大好きな本屋さん”ON READING”のロゴを描いていたのが、ともえさんのSTOMACHAHE.だったのだ。

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―― お邪魔します。部屋の建具がほとんど自分達で作ってる。テレビ台、キッチン横の棚、作業机、ご飯を食べる机に、大きな本棚も組み立ててあるし、ベットは入り組んだ秘密基地みたいに目隠しの木が組んであって心地よいスペースになっている。ともえさんの作った木工と、お父さんが作り上げた本棚や、ともえさんの大学の卒業制作で作った作業机など、すみからすみまで作っている。

本棚作り方覚えちゃえば簡単だよー、垂木にノミで切れ込み入れて、組み立てていけば、強度もあるし…

松陰神社前のmercie bakeのチーズケーキを食べてまったりしてから、とてもゆるゆると、ともえさんに話を聞いた。

―― 色々なものが気になる…この椅子は?

大学の卒業制作で8m近く作ったテキスタイルを椅子に布張りして張り替えている、カーテンもその布。大学のごみ捨て場から拾ってきた椅子に自分のテキスタイル張り替えたもの。大学は吉村順三さんていう建築家が作った建物で。椅子も。

すごい素敵な椅子なのに大量に捨てられてて…もらってきた。

大学の頃から絵を描いて仕事をちょいちょいもらいながらやっていて、就職活動もしていたけど途中で卒業制作に専念することに。そんなペースでやりはじめていた。流れていたら辿り着いた、というようなゆるい人です。

皆、卒業制作つらそうに作ってたけど、楽しくて…

卒業制作はスケボーのランプと机とが一体化しているもの。

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机は卒業制作の一部。

―― 大学はなにをしていたの?

愛知県立大学ではデザイン科で。メディアとグラフィックとプロダクトも建築も全部一緒で、課題に寄ってなにやってもよくて。木工とかシルクとかやっていた。イラストの勉強もしていたわけではなくて。

いつもまるまって書いてる。

壁に絵書く時は腰が痛くなったけど、座って書くのは大丈夫。書く格好がデフォルトみたい。休憩する時は机の上に足乗っけてぼーっとしてる本と読む人tmtm.03

遠くの方で電車が走ったり、色んなところの距離感がすごいいい場所だね、ここ。近くの公園もよかった…

あそこいいよね、近くに住んでる友達がPARK MAGAZINEていうのをやっていて、公園で取材してるんだけど、あそこで撮影したりしてる。

(STOMACHACHE.の二人も乗っているので、是非☞LINK)

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―― ZINEの話

昨日の朝に集中して表紙の絵を書き出して、

考えてるけど、考えていない。話を脈絡ないけれど、

クリスタルガイザーの広告入れてみたり、誰にも伝わらないけれどと一人でウキウキしながら作ってる。

今までストマックエイクで作ったのは12,3冊くらい。自分だけのもふくめるともっと。本と読む人tmtm.09
―― 
ここの本は?

作業台の横の本棚が好きな本の上位にはいるもの。割といつも一緒で、あまり開く事もないけど、近くにあると嬉しい本が多い。relaxも多いし、relaxの影響を受けて好きになった本が多いかな。

なんとなく置いているやつもあるけど、引っ越しを機にちょっとだけお気に入りを置こうと思って。

平野多呂さん写真集はサイン入り。名古屋のON READINGでトークショーしたときにサインしてもらった。

ON READINGとの始まりは、店舗が今のON READINGになる前のエビスブックスの色んなZINEを集めたイベントの時に呼んでもらって。名古屋INTER FMに絵を乗せてもらってたのを見てくれて、声をかけてくれた。

そして、名古屋の店舗がスタートする時にお店のロゴなどを書くことに。STOMACHACH.の本を出版してくれてるし、すごいプッシュしてくれてる。

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部屋と行き来できるベットの空間。

あとね、この本が凄い。図鑑なんだけど中の絵が凄いかわいい…。

―― 本棚にはってある写真、三人写っていてともえさんとお父さんと真ん中には笑顔の優しいヒゲの生えた外国人の人の写真が気になる…

阿部ちゃん(平野太呂さんのアシスタントを経て現在フリーのカメラマン)の友達でセルゲイという写真家とばったり遭遇して撮ってもらった。

隣にある写真は生まれたとき住んでいた家。これはお父さんが建てた家で…洋風な二階建ての家の写真を指差し、煙突がはえている。暖炉もあって、サウナもある。これはフィンランドのサウナ。うちが生まれる前にフィンランドに2年くらい住んでて、帰ってくるときにサウナのキットを持ってかえってきた。


―― なるほど。今も徳島に1から家を建てている写真を見せてもらったけど、お父さんはどうしてそんなに建てれるの?

独学で家で建てられる資格を取って。若いころ色んな所に行っていて、イギリスに行っていた時に、なんでも屋みたいなのをやっていたとき、小さな小屋を建てたのが初めての。兵庫県の教会に住んでいた時に、雨漏りをして、お父さんが改修して屋根裏部屋にしてた。

ROCKETでの展示にもさりげなく展示してあったこの写真。ストーリーを知らなければ通り過ぎてしまう、一枚。テント、帽子の刺繍、陶器、など、メディア

シルクスクリーンで刷った布を手持ちの服やカバンに縫い付けてくれる、ポケットワークショップがあった。ミシンでダドダダダダと二人が縫い付けてくれるのである。

STOMACHACHE.はどんどんと進んで行く。

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