WOMB 写真展 / 真実とフェイク
WOMB 写真展 / 真実とフェイク
会期: 2021年9月8日(水)〜9月26日(日) 14日・21日は火曜のため店定休日です
会場: OLD/NEW SELECTBOOKSHOP 百年
WOMBは2013年より写真誌『WOMB magazine』を発行している写真家グループです。
今年の4月に発行した最新11号では「真実とフェイク」というテーマを設定し、制作しました。
本展示では11号に掲載した作品を展示いたします。
また展示期間中、百年にてWOMB最新号とバックナンバー、作家の写真集も展示・販売いたします。
“WOMB” という名前には、ものが生み出される(育つ)場、そしてまだ誰も知らないものへの入り口という意味を込めています。写真という媒体を通して世界を捉え提示していきます。
現在は植田真紗美・川崎璃乃・Kalina Leonardの3人で活動しています。
HP: https://www.wombphoto.com/
Instagram: @wombmagazine
Kalina Leonard「RECOLLECTION」
川崎璃乃「石巻にて」
植田真紗美「Re」
11号「真実とフェイク」をテーマに作家がそれぞれの視点で作品を制作。
Kalina Leonard「RECOLLECTION」
「忘れたいのに忘れられない記憶、忘れたくなかったのに上手く思い出せない記憶」を軸に、「記憶」からイメージできることを鏡に写る自分自身と作家に語ってもらいながら撮影した作品。被写体は作家の実際の友人であり、彼等にとってのプライベートな空間で撮影されている。
この作品は、作家自身の自己認識への疑問から始まっている。作家は自己イメージと他者イメージ、そしてふと鏡に写った際などの偶発的な自己客観視による様々な自己認識のギャップへの気づきから、自身を“本当に”認識しているのかを疑うようになる。そして脳内再生で認識している自身の記憶へも疑問を持った。そして、その疑問は必然的に他者にも向けられた。
撮影では被写体に対して普段と視点を変え徹底的に第三者の立場を取った。被写体が選んで発した言葉に耳を澄ましながら、一部しか切り取れない写真を通してどこまで『写す』ことができるのか、自己認識の方法を他者を観察する事で探究した実験的作品。また、被写体の話から得た印象を、写真を加工し作家にとっての真実に近づけることで、他者イメージが持つ暴力性も表現している。
川崎璃乃「石巻にて」
2019年、東京から宮城県石巻市北上町に移り住んで撮り始めた作品。
田舎と呼ばれる地域でもことさらに静かな生活環境の中で撮影している。
常に動きのある忙しい都会の生活から一変、静かで穏やかな日常。だからこそ捉えることができる小さな感動を写したもの。
作品キャプションには「ありきたりな感情や情緒であっても、隠さずに表現していこうと思った」と書かれている。作品制作において、どこかで見たことがあるようなものや、ありきたりな写真を避け、目新しい何かが写っているカットや決定的瞬間が写されたカットをセレクトしようとすることもあるのではないだろうか。
しかし、その行為は、作家には本当の自分を隠すことのように思えた。「どこかで見たことがあるかもしれない風景」であったとしても、撮影の瞬間にはそんな風景に淡く心を動かされていたはずなのだ。
はたしてそれは陳腐なことなのか、または豊かなことなのかを自分自身に問い、見る側にも投げかけている。
植田真紗美「Re」
作家が遺失物販売店(※)で出会った「もの」に商品名がなかったことから、「もの」の作られた背景や用途などに様々な想像を膨らませ、「もの」の新たな形を写した作品だ。
タイトルの「Re」に「再び、さらに、新たに」の意味があるように、「もの」の在り方の可能性を押し広げようと試みている。
部屋の中、路地、自然など各地で撮影された写真はセッティングをしていながらも、スナップ写真のような現場感が残されており、まるでパラレルワールドのような新たな視点を提示している。
本来の姿とは異なりながらも、さもありなんとそこにある「もの」たち。虚実を含んだ、「もの」の姿が豊かに表現されている。
※日本の電車や百貨店等で届けられた忘れ物は、一定期間保管されたのちに遺失物を販売するお店で再び商品となる。
Kalina Leonard
東京都生まれ
2018年11月 写真集『Bernoulli』を出版。同名の個展をSO1ギャラリーにて開催
2019年5月 写真家グループWOMBに加入
2019年8月 造形作家botchinとの合同展『妖怪盆踊り』展をdessinにて開催
2020年8月 複数の現代美術家で構成されるSUPER-NORMALの一員として
『SUPER-NORMAL?』展(Gallery OUT of PLACE アーツ千代田3331)に参加
2021年4月 WOMB Magazine vol.11発行
川崎璃乃
東京都生まれ
2011年 日本写真芸樹専門学校 卒業
2014年 写真家グループWOMBに加入
2021年 現在、東京から宮城県石巻市に拠点を移し活動中
個展
2015年 「新宿夜顔人」 百年
合同展
2016年 「新宿夜顔人」女木島ビーチアパート
2016年 「そこはきっと明るい」 MARÜTE GALLERY
2017年 「CEID展 vol.2」騒ギニ乗ジテ
HP: https://www.rinokawasaki.com/
植田真紗美
東京都生まれ。玉川大学、日本写真芸術専門学校卒業。新聞系出版社写真部、東京都広報課写真担当を経てフリーランス。2013年より写真作品の発表場として写真誌『WOMB』を制作、発行中。
2012年 第1回キヤノンフォトグラファーズセッショングランプリ(キヤノン賞)受賞
2018年 第19回写真 「1_WALL」 ファイナリスト
2021年 東京恵比寿にKomagalleryを写真家9名と共同設立
<個展>
2009年 「可視光線」 百年
2013年 「海へ」 TOTEM POLE PHOTO GALLERY
2015年 「海へ」 百年
<合同展>
2012年 「第1回キヤノンフォトグラファーズセッション-キヤノン賞受賞作品展」キヤノンギャラリー銀座
2012年 「第1回キヤノンフォトグラファーズセッション-ファイナリスト展」キヤノンオープンギャラリー品川
2016年 「この島のどこかで」 女木島アパート
2016年 「そこはきっと明るい」 MARUTE GALLERY
2018年「第19回写真 『1_WALL』 展」 ガーディアン・ガーデン
2021年「Koma gallery Opening Exhibition」Koma gallery