Artist Statementー大平高之
今回の展示の「夏の小窓」という題にこめられた思いや由来があればお聞かせください。
『一日』の空間に小さな絵が並んでいる状態をイメージして、
字面が静かでよいかなと思い、頭に浮かんできたこのタイトルにしました。
植物や果実をモチーフに制作をされていらっしゃいますが、モチーフを限定されている理由やきっかけがあればお聞かせください。
どちらも静かでやわらかさがあって、香りがするところが好きです。季節と共にあるところも。
ただ、植物や果物が描きたいというよりも、モチーフがきっかけとなって、
自分の中にある形にならないものを外に出しているような感覚があります。
限定をすることでむしろ自由を得られるという気持ちもあり、同じようなモチーフで繰り返し描くようになりました。
制作をされる際には実際に植物や果実を見ながら描かれますか?それともイメージで描かれますか?
観察して描く時もありますが、作品にする時にはほとんど見ないで描いています。
ご自身で特に好きな植物または果実はありますか?
そのあたりに生えている雑草に惹かれます。春頃は足元を見て歩くのが楽しいです。
制作において大事にしていることはありますか。
人の作品を見る事と、自分で手を動かすことのバランスが、自分にとっては大事かなと思っています。
描けたという感触と、これでいいのだろうか?という迷いも大事な気がします。
不安定さや不確かさみたいなものも、描く事、見る事の面白さだと思います。
何か見る人の心に作用するような絵が描けたらいいなと思っています。
影響を受けた本、おすすめの本、○○な時に読み返す本など、なにかあなたの1冊を教えてください。
『中谷宇吉郎随筆集』(岩波文庫)
制作の中で大事にしていることを考えながら、この本の中に出てくる「線香の火を消さないように」という言葉を思い出しました。雪の研究者の随筆なのですが研究以外の内容も多く、著者の佇まいを感じられるような文章で、時々読み返したくなります。
今後の活動予定があれば教えてください。
9月に岩手、10月に神戸で展示を予定しています。
来年以降は今のところ未定ですが、どこかで見ていただけたら嬉しいです。
大平高之 個展「夏の小窓」
http://www.100hyakunen.com/news/exhibition/202108023268
大平高之
植物や果物などを主なモチーフに、静かな時間、ひとりの感覚によりそうような絵を描けたらと思っている。
各地のギャラリーやカフェでの展示を中心に活動。リトルプレスや音楽のための作品提供なども行う。
Twitter: @ohrtkyk
Instagram: @_ohiratakayuki