Artist Statement -misako Fukushige 個展「parade」-


会期:2021年4月28日(水)〜5月2日(日)
時間:12:00~19:00 (最終日は17:00)
会場:古本屋 一日 (武蔵野市吉祥寺本町2-1-3)

http://www.100hyakunen.com/news/exhibition/202104253174


・今回の展示のコンセプトがあればお聞かせください。
 ステイトメントの通りです。SNSの普及した世の中はともすれば他者の承認を求めてしまいがちですが、誰に認められずとも、己が己をよしとすればそれでいいじゃないかという今の世間に対する気持ちもあります。
 それと、私が2015年に制作した「結晶した一日」という作品があるのですが、「誰にも見向きもされない平凡な一日こそが危うい均衡で成り立つ脆弱なものである」というのがコンセプトなので、生活が変容した今、それを思い知っているような気持ちです。また大塚英志の「暮らしのファシズム」も頭の片隅にあるような気がします。


・ヨガのイラストを拝見して、家のなかで過ごす時間が増えているいま心までほぐれるような気持ちになりました。ヨガのイラストを描くきっかけがあればお聞かせください。

 まず、なぜおじさんたちにウサ耳がついているのかというと、2005年から突発的に描いているバニーボーイというプロジェクトが発端です。「女性が客体化され眼差される存在なのだとして、それならばこちらから男性を客体化してみてはどうだろう」という試みが大元です。そうしたジェンダーギャップの意識がそこにはあるのですが、体のためにヨガを始めてみて、好奇心からヨガ雑誌なんかも読んでみると、そこには痩せてる人も太っている人も老若男女別なく載っているし、誰と比べることもなく自分のペースで体を動かせることが思った以上に良いなと思ったことがきっかけです。
 ふくよかだけど軽やかで、見ていたら幸せになるような、どこかありがたい感じが出るように、なんとなく無性的になるようにと意識しています。


・インスタレーションなどの表現活動もされていらっしゃいますが、今回の展示ではイラストレーションが中心の展示となっています。もし理由があればお聞かせください。

 色々と要因はあるのですが、精神的に疲弊していたことと、制作環境がうまく整わなかったということがあります。都内の住宅環境もあり、継続的にインスタレーション作品をと思っても難しいところがありますね。構想やシミュレーションにスペースを取りますし。心が塞いでいたこともあって、気分転換に「描くことを楽しむ」原点を思い出すことと、絵を描くことのコンプレックスを払拭しようと思ったのもあります。おかげさまでイラストと、写真展示をきっかけにまたインスタレーションもしてみたいなという気持ちが出てきました。

・制作において大事にしていることがあればお聞かせください。

 第一に心身ともに健康であること、第二に細くていいので長く続けることです。制作はある意味で精神の深い部分を開示するという面もありますし、徹夜や無茶な制作で病んでしまって続けられないということはよくあると思うので。極論を言えば生きていればそれでいいと思います。生きてさえいれば何かしらやりたくなると思うので。

・つよく影響を受けたもの/体験はありますか。

 インスタレーション、美術をやりたいと思ったきっかけは2003年の国立近代美術館でやっていたヴォルフガング・ライプ展です。

・影響を受けた本、おすすめの本、○○な時に読み返す本など、なにかあなたの1冊を教えてください。

 1冊と言われると難しいですね。では、たまたま近くにあった「亡命ロシア料理」を。食はやはり生活の原点だと思います。冒頭「素晴らしきこの魂の高まり」の「人間を家と結び付けるヘソの緒は、もちろん、腹から出ているのであって、心臓からではない」という文は、思えばイギリス留学中のホームシックを癒すのに効果が一番高かったのは自炊をすることだったなぁという実感とともに噛み締めることができます。

・今後の活動予定があれば教えてください。
 
 残念ながら未定です。ただ、また機会をいただけるなら今度はインスタレーションでここで展示ができたらなと考えています。写真を通して見つけだした存在と不在の間という関心が、今度はインスタレーションで表現できればなと思います。

会場では作品集、グッズも販売中です。

2017年にオープンした古本屋&ギャラリーです。古本屋「百年」の姉妹店です。
吉祥寺駅から徒歩3分。
写真、イラストレーション、絵画、立体、映像など、ジャンルは問いませんのでぜひご相談ください。
事前にメールにてお問い合わせ後、作品のイメージが伝わるもの(ポートフォリオ等)をご持参のうえ、どのような展示にしたいかをご提案ください。

5日間(水~日曜):15,000円+2,000円(税抜)
11日間(水~月曜&翌水〜日曜):30,000円+2,000円(税抜)
※最長2週間迄

✉mail@100hyakunen.com