松岡幸宏写真展「fractal/object」

会期:2017年11月16日(木)-11月29日(水)
時間:12:00-20:30 火曜定休
会場:吉祥寺・一日(武蔵野市吉祥寺本町2-1-3 石上ビル1F)

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fractal (フラクタル)- 物質や物体、地形のどの部分をとってももとの物質、
物体と似た部分、形から成り立っているという自己相似性をもった原理。
今作はフラクタルという言葉の意味するところの自己相似性を写真の一枚一枚を通して僕自身の中に求め僕というもののイメージが写真の一枚からまたは全体から滲み上がることができないかと考え制作した2部構成のシリーズの第2部です。
撮影にあたり前作ではあくまで日常の偶然性の中から無意識に選び取ったランドスケープとアーキテクトをメインに撮影しましたが、今作においては僕自身がコレクターとして蒐集したアンティークやビンテージのグラスボトルと水晶の原石の数々を撮影、僕が興味を惹かれ美しいと感じたものの中にフラクタルなポイントを見つけようという試みである。
今回の被写体を大まかに分けるとアンティークのグラスボトルのようなアーティフィシャルなオブジェクトと水晶のようなナチュナルなオブジェクトの二つに別れる。アーティフィシャルなオブジェクトとナチュラルなオブジェクトを合わせたのは人工物も結局人間という自然界の生物が生み出したオブジェクトでありさらにガラスと水晶は元をたどるとケイ素という同じ物質から成り立ちそれらは僕にとっては同位でありその中にある人工造形と自然造形の対比も表現しようという考えからだ。さらに数十年から数百年という時間を経たグラスボトルとそれより遥かに長い時間をかけて生成された水晶を同じプロセスで現出させることにより時間の対比も表現しようと試みている。
最後に感じたのは、水晶もガラスもおそらく僕自身が小さな光の破片、日常生活の中の灯のようなものを知らず知らずに求めているということの表れかもしれないということ。そして太古の人々がローマングラスや装飾品としてそれらを求めていたのは根源的にはもしかしたら同じ理由があるのかもしれない。そう考えると時代とともに世界は変わっていっても根底に流れるある部分というのは今も昔もこれからも残っていくものなのではないかと感じた。

今回の写真集の撮影と編集を終えてしばらく実家に帰省して庭を散歩していた時にふと子供の時の記憶が浮き上がってきた。僕の実家の裏山には先祖が捨てたと思わしき食器の破片やよく分からない古いものが埋まっており、僕はそれを掘り起こす小さな発掘が大好きだった。その中でも特に好んで集めていたのが昔の目薬の瓶や化粧品の瓶であった。もう一つ、実家は祖母が農業をずっと営んでおりたまに畑の鍬おこしをしていると水晶の原石が出てくるらしく孫へのお土産として透明で程よい大きさのまだ土が付いている掘り立ての原石をよく持って帰ってくれた。僕はそれらを一つ一つ水道で洗い使い古しの歯ブラシで磨き上げてから小箱にしまい込み学校帰りの夕暮れに時々出してはぼんやりと眺めていた時の恍惚感というか満たされたような感覚と透明な物質から抜けてくる柔らかな光の印象が目の前に手に取るように浮かび上がりそれらの記憶が数十年経って今の僕と繋がった。

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松岡幸宏(yukihiro matsuoka)

自身のフィルターにとどまった建造物や植物、アンティークなどをモチーフに、それぞれに感じた時間と光を表現するため、赤外線撮影やコラージュ、デジタル、フィルム、ポラロイドなどあらゆる手法を取り入れて作品を制作している。
1979年 山口県宇部市生まれ
2013年 ジュエリーブランドLaboratoriumを設立
同年フォトグラファーとしても活動開始
2014年 リトルプレスにて写真集aetherを出版
2015年 リトルプレスにて写真集estrangementを出版
2015年 吉祥寺百年にて個展「aether/estrangement」開催
2016年 tokyoarts galleryにて個展「aether/estrangement」開催
2016年 リトルプレスにて写真集fractal出版
2017年 tokyoarts galleryにて個展「fractal – about an architecture & particle of light.」開催
2017年 中目黒蔦屋書店にて個展「fractal/architect」開催
https://www.yukihiromatsuoka.com//