佐治嘉隆写真展『高田渡 1971 / TOKYO 70’s』

会期:2016年3月30日(水)-4月18日(月)
時間:平日12:00-23:00 土曜11:00-23:00 /日曜-22:00 火曜定休
会場:吉祥寺・百年 (武蔵野市吉祥寺本町2-2-10 村田ビル2F)
写真展photo

 デザイン学校の写真専攻科を卒業後、フリーの写真家と言えば聞こえはいいが、実際は友人知人から依頼される様々な仕事をこなして何とか暮らしていた。カタログやチラシのブツ撮り、建築会社での模型撮影、選挙事務所の映像記録係から企業のプロモーションムービーまで、何でも引き受け毎度冷や汗をかきながらやっていた。そんなストレスから逃げるように、仕事のない日は東京の街をスナップして歩き回った。
 ある日「ライトミュージック」という音楽雑誌の仕事を頼まれた。その初回が高田渡さんの撮影。彼については「自衛隊に入ろう」を歌ったフォークシンガー、ということしか知らなかった。レコード会社でお会いし、できたてのアルバム「ごあいさつ」を抱えた彼の後について電車に乗った。吉祥寺駅から彼のアパートへ向かうバスの外を懐かしい風景が流れてゆく。そして着いたところが「牟礼」。なんと私が上京して初めて住んだ街だった! 団地の商店街も通った銭湯も、そのままだった。
 夕方になって吉祥寺に出る。ハーモニカ横丁を抜け、ぐゎらん堂に着くと武蔵野タンポポ団の常連もいて、タバコで煙る店内に「ごあいさつ」が流れる。僕は勧められるまま、名物「ねこまんま」を注文した。その夜は話に夢中になって気がつけば帰る電車もなく、図々しくも彼の部屋に泊めていただくこととなった。そして翌朝撮ったギターをつま弾く写真がセカンドアルバム「系図」のジャケットになった。
 写真展の案内状に選んだTOKYO 70’sの写真は、かって夢の島に打ち捨てられていた第五福竜丸。意図したわけではなかったが、渡さんとのセットで眺めていると、「鮪と鰯」が聞こえてくる。
https://www.youtube.com/watch?v=-ziN6PAClcQ/

<関連書籍>
『Melting point-Bali』
定価:3,000円
A4変型/132ページ/フルカラー/ソフトカバー

『時層の断片』
定価:3,000円
A4変型/164ページ/フルカラー/ソフトカバー

佐治 嘉隆(さじ よしたか)

1946年 愛知県渥美郡渥美町(現田原市)生まれ
1968年 桑沢デザイン研究所写真専攻科卒業
1978−1983年 デザイン事務所GALAXYを牛腸茂雄と運営
1976−2011年 The American School in Japan勤務

写真展
1989年 [Field note] Gallery FROGⅡ 東京
2000年 [自然直伝・野口三千三の世界] 新宿住友ビル 東京
2002年 [melting point] Contemporary Photo Gallery 東京
2003年 [芭璃南帰行] Contemporary Photo Gallery 東京
2004年 [芭璃-BALI-瞑走] Contemporary Photo Gallery 東京
2005年 [森のパースペクタ] Contemporary Photo Gallery 東京
2010年 [Melting point-Bali] TAMBOURIN Gallery 東京
2014年 [時層の断片] ESPACE BIBLIO Gallery 東京

http://balian.p1.bindsite.jp/